UniMagic歴史編纂(過去編2)
この記事はUniMagic アドベントカレンダーの11日目の記事です。盛大に遅刻……。
今回はアドベントカレンダー開催記念、もしくはUniMagicの最初の情報公開から2周年となったことを記念して、UniMagicの歴史を複数回に分けて紹介しようと思います。
第二回は過去編2ということで、UniMagic1期から5期までの辿った軌跡を裏話を交えつつ綴ろうと思います。
なお、場合によって以下の略称を使う場合がありますので、必要に応じて読み替えてください。
略称 | 正式名称 |
---|---|
学園 | 私立VRC学園 |
スクール | VRCスクール/NOAH(VRCスクールの一時期の名称) |
寺子屋 | VRC初心者ノ寺子屋 |
胎動の裏側で
ここでは、UniMagic1期開校の裏側と、2期開校までに起きた様々なことを書き綴ります。
衛星
UniMagic1期開校の裏側で、Sateliteサーバーの準備が進んでいました。そう、最初からはありませんでした。
元々、私立VRC学園とVRCスクールの状況はよく見ていました。学園という居場所自体をコミュニティとすることを嫌う学園に対し、スクールという居場所自体をコミュニティとするべく動くスクール。
この対比の中で生まれたUniMagicの結論は、最初から、「ここは、"プラットフォーム"であるべきだ。」です。人やモノ、情報や技術が交差し、繋がることができる場所。何より、そこに自由度があった方が面白いことが生まれる可能性は高いからです。開期に限らず交差を発生させるためには、Sateliteは必要不可欠でした。(それに、コミュニティ化を無理やり止めようとしてもうまくいかないのは、学園の例を見てよく知っていました。)
専攻
UniMagic1期運営中に、こんな話が出ていました。
ワールド専攻科β、12月にやろうよ!
流石に正気を疑います。 いくら私でも。とはいえ、周囲の状況(学園/スクール)を鑑みると合理的な話でもありましたし、校舎建設計画を進めたいという意図はあったので、実際ワールド専攻科βを次の一手とするのは十分考慮に値する計画でした。
校舎建設計画というのは、「UniMagicの校舎ワールドを、UniMagicのみんなの手で作ろう!」というもので、執筆現在時点で進行(停滞)中です。Sateliteサーバーで進行(停滞)しています。ごめんなさい!!!!!
もちろん、準備期間等諸々を考慮するとこんな地獄のスケジュールがまかり通るはずもなく、ワールド専攻科βを12月に開催する計画は一旦白紙となります。12月に開催する計画としては。
憲章
UniMagic憲章、皆さんは読んでいただけていますでしょうか。この文章の原本ができたのが、1期終了後すぐくらいの出来事でした。そして、この内容は原本が作られてから、変更されたことはありません。昔も今も、この憲章を基にUniMagicは形作られていま す。
ちなみに、クッソ要約すると
- 「自由な世界で、学び続けることと覚えよ。」 : 謙虚であれ
- 「ヒトを、モノを、情報を、技術を繋げよ。」 : 分け与えよう
- 「飽くなき好奇心で、挑戦と探求を続けよ。」 : 御託はいい、やれ
です。
組織
運営中枢の組織をちゃんと組んだのも、1期後から2期前のこの時期です。この段階で、現在とほぼ同じく総務(外務はまだ総務管轄でした)/技術/教務/学支/衛星のカテゴリー分けが存在しました。組織立てたのは、成功であり失敗もあったと思います。
成功面は組織の拡大に耐えられるようになった、失敗面は部署間の情報のやり取りが(だいぶ先で)厳しくなっていった点が挙げられます。部署間でのやり取りが十分に行われない部分に関しては、運営中枢向けの教育を正しく引いてあげるべきなのかなと思います。
紋章
UniMagicのロゴが完成したのも、またこの時期です。UniMagic1期生のはるすけさんに制作していただいたロゴになっています。「魔法陣、猫、夜、魔法使い、本(知識のイメージ)」といった要素から生まれました。
(ここに仮ロゴと現ロゴの画像を貼る)
実はロゴタイプの文字には2パターンあり、運営中枢内でもどちらを取るか非常に拮抗していました。結局、「両方を正式版とする」ことで決着としました。使用先用途の雰囲気等に合わせて使い分けが可能ですので、是非UniMagic関係者各位は使ってみてください。
(ここに2パターンの画像を貼る)
UniMagic2期 - ワールド専攻科
流石に12月計画は白紙となりました。しかし、「ワールド専攻科」自体はまだ残っています。実際、様々な意図のもとで実施されました。以下は覚えている限りの意図です。
- 先述の通り、校舎建設計画を進めたいという意図があった
- 慢性的に講師を担当できる人材が(UniMagic内に)不足しており、増強を狙いたかった
- 学園と開校時期が被るが、逆に(運営中枢リソースの問題を除けば)被ることで応募人数は分散し、よりUniMagicに来たい人だけが残るはず
- このタイミングで「専攻科」に対する肌感を模索しておきたい
- 技術層の異なる人々を迎えて、コミュニティの強度を増やしていきたい
職員人数的にも、講師負荷的にも、クラス数を増やすことは難しい状態でした。とはいえ、私とイオさんで2人分の基盤講師が出せたので、2クラス進行となりました。流石に講師公募までのリスクは背負えないと判断し、講師はこちらから声をかける形で招聘し、2クラス36名程度を想定入学人数としていました。
応募が100名を超えました。
いや確かに、1期の時も応募が50名を超えて急遽2クラス目を生やしました。しかしそれでも想定外すぎます。流石にそこまでの人数を受けきれるだけの運営体制もありません。まだこの時期は運営中枢メンバーは私含めて10名程度でしたから。
選択を迫られます。この応募数、どうするか。
「グリントさんは、優しすぎる。だから運営には向かないよ。」過去に投げられた言葉が頭の中を走ります。それでもなお、掬えるだけ掬いたい。救えるだけ救いたい。UniMagicの未来への期待が、目の前の期待を放り出せない優しさが、2期A/B連続開校という地獄の門を開きました。
これは、2/113/2の当初予定されていた期間を2期Aとし、その後3/103/30を2期Bとして同科を2連続で開催することで4クラス分の人数を受け入れるというものです。講師の方への負担もありますが(快く引き受けていただいた講師の皆様には頭が上がらりません)、運営中枢メンバーは発狂しています。
逆に、運営中枢メンバーの発狂程度で済むので、実質ノーダメージです。ダメージ感覚がバグっています。
選択を迫られた際、可能性のためならある程度のリスクとダメージは覚悟で挑戦側の選択を取る。ゆにまじではよくある光景です。「飽くなき好奇心で、挑戦と探求を続けよ。」
当時としては大きな負担を強いた形にはなりましたが、結果として2期4クラス受け入れは、最終的には成功だったと思っています。何より、その成果は1年後に思いもよらないプレゼントとして帰ってきたのですから。……というのはまた別のお話。21日の記事をお楽しみに。
小噺 : あんぽっく
「きみ、流れるようにあんぱっくしたね?」という授業があります。これはワールド専攻科で行われた、Prefabの扱いに関する授業です。概ね毎期EX授業で取り扱われています。
さて、UniMagicでは毎期、授業風景を授業タイトルと共にツイートしています。広報担当者が間違えて、「きみ、流れるようにあんぽっくしたね?」とツイートしてしまいました。現在では訂正されていますが、これを機にツイート文面の確認を複数人でより丁寧に行うためのワークフローが確立されました。なんなら毎期「次はあんぽっくしないでね?」と盛り上がっています。
ちなみに、会議の議事録には「あんぽっくしました。」と残されています。
2期の所感
2期は特に楽しい期でした。各クラスそれぞれがそれぞれの色を持っていて、クラスによって授業のアプローチが全然変わってくるという印象がありました。
- 1組(イオ担当)は、ちょこびさん+taka7nさん運営中枢2名による†調整†もありいい感じに回りつつ、質問を的確に出すプロ生徒もいたため正統派の様相。
- 2組(GlinT担当)は、私と担任のパワーが強かったのでわちゃわちゃの個性派の様相。
- 3組(イオ担当)は、UniMagic歴代きっての質問過多クラスで探求心の塊。バケモン。
- 4組(GlinT担当)は、UniMagicの†飯テロ伝説†の始まりとも言える、というか飯テロで団結してしまった狂気のクラス。
ワー ルド専攻科として開校した2期ですが、安易な結論だけ書いておくと「ワールド本科が欲しいね」でした。
実際、2期のワールド専攻科では易しめな内容と難しめな内容が混ざっていて、アンケートの回答結果にもそれが色濃く出ていました。それと同時に、易しめな内容と難しめな内容の両方に一定の需要が見られた、というのは特筆すべき点でした。
恐らく、今後同じカリキュラムとしての「ワールド専攻科」は開校されません。しかし、専攻科を諦めたわけではなく、もっと綿密に組み直してよりよいものを世に出すためです。
特に2期生の皆様に朗報なのですが、「ワールド専攻科」ではないワールド関連の専攻科が生えた場合、それは「ワールド専攻科」ではないので入学可能です。UniMagicの全力をお楽しみに。
壁を超えろ
UniMagic2期と3期の間は、静かに、しかし大きな変化のあった時期です。
UniMagicは、学園やスクールなど、別の学園型コミュニティとのかかわりの中で生まれました。それらの遺伝子と知見と方法を多分に受け取り、それらを由来とする人々に育てられました。
しかし、いつまでもゆりかごの中ではいけません。ここが転換点です。自分の足で進み始める時が来ました。UniMagicがUniMagicを形作る時代がやってきます。専攻科開校をしたのもそういう意図がありましたが、4クラス受け入れをしたことで、想像以上に駆け足でやってきました。
私はこのタイミングで、UniMagic Phase2の開始を宣言しました。
UniMagic Phase2の目標地点は、大きく分けて以下の2つになります。
- 繋がりを強化すること : 「ヒトを、モノを、情報を、技術を繋げよ。」
- クラスに留まらず、UniMagic全体を1つの大きなコミュニティとして繋げる
- 縦横にUniMagicを拡張し、また更なる拡張に向けた基盤を形成すること : 「自由な世界で、学び続けることと覚えよ。」「飽くなき好奇心で、挑戦と探求を続けよ。」
- 専攻科や「Blender本科」を立ち上げ、技術に対する入口や道標を確立する
内と外の壁を超えろ
内外向けのコンテンツとして「ゆにらじ」を開始しました。これは、UniMagic関係者が送るラジオ企画です。Satelite向けには「ゆにまじにはこういう人がいるんだ~」という認知の場になりますし、外部向けにも「VRChatの深い人たちのトークが聞けて面白い」という感想を頂いております。作業用BGMに使っている方もいらっしゃるようで、そこそこ以上には好評みたいです。
ちなみに、執筆時点での次回のゲストはanatawaさんです。その次のゲストまで決まっています。わお!
運営体力の壁を超えろ
UniMagic2期を運営して思ったのは、「人手が足 りなくて忙しい!」です。というわけで、突然運営中枢メンバーを約2倍にしました。新しい風が吹き荒れる!!
もちろん、がむしゃらに誰でも入れていいわけではなく、ちゃんと吟味検討をしています。
UniMagicの人事権は全て私が持っています。逆に、運営中に何かあった時は最後は私が責任を持つシステムです。その上で、「信頼するので、自由に動いてください。」をしています。それだけの信頼を置ける人物を運営中枢メンバーとしています。
もちろん、それぞれ達成したい目標を提示することはしていますが、手段も道筋も問わないとしています。達成できなくても責めません。ただ反省はします。(私が)
私としては、中途半端に自由度がないよりも、自由と権利の代わりに責任を負う方がやりやすいので、こういう形を取っています。多分、生半可な気持ちでこれをやると普通に崩壊するのでやめたほうがいいと思います。
本科専攻科の壁を超えろ
Unity本科とワールド専攻科の間には、明確な壁があります。これは、「Unity本科修了後、すぐにワールド専攻科を受けても内容が難しい」という話なのですが、具体的になにが壁になっているのでしょうか?
ある人は言いました。「その壁は、プログラミング的思考ができるかどうか、である。」と。そして、それこそがアバターギミック本科の始まりでした。
実際に、アバターギミックはプロ グラミング的思考の入門として適している、と言えるでしょう。Animatorを用いた条件分岐、Animationでできることの多様性と抽象化、そしてこれらを自分で組むことによって養われる思考力。これらの考え方はワールド専攻科に限らず、専攻科レベルの内容を習得していくためには不可欠です。
3期のアバターギミック本科は、5期のアバターギミック本科よりも難しめ、というか必修が多い関係で内容が多岐に渡っていました。PhysBone/Contact/Shaderなどが全部まとめて必修に入っている激ヤバパッケージ。それもそれで、より深く学びたい人でも満足できる内容だったと思います。
入口の壁を超えろ
1期のUnity本科はありえないほどに難易度が高いものでした。反省を受けて、3期からはUnity本科全体の抜本的な見直しを行っています。Unity本科の授業内容の難易度もそうですが、それと同時に「特にUnity本科において、クラスとはどういう意味を持つのか、持たせるのか」という、コミュニティ面からも見直しを行っています。
その上で、「ちゃんとやる」ことをUniMagicの矜持としています。根本の原理をちゃんと学ぶこと、コミュニティとしてイベントして楽しさを確立すること。ここの調整はなかなか難しく、5期現在まで未だ決着していない課題の一つです。(もちろん、期を追うごとに改善傾向にあります。)