UniMagic歴史編纂(過去編1)
この記事はUniMagic アドベントカレンダーの4日目の記事です。
今回はアドベントカレンダー開催記念、もしくはUniMagicの最初の情報公開から2周年となったことを記念して、UniMagicの歴史を複数回に分けて紹介しようと思います。
第一回は過去編1ということで、UniMagicが『UniMagic』として世に出るまでのことを、他の学園型イベントとの関わりと共に綴ろうと思います。それもそのはず。学園型イベントとのかかわりの中にUniMagicの歴史はあるからです。
なお、場合によって以下の略称を使う場合がありますので、必要に応じて読み替えてください。
略称 | 正式名称 |
---|---|
学園 | 私立VRC学園 |
スクール | VRCスクール/NOAH(VRCスクールの一時期の名称) |
寺子屋 | VRC初心者ノ寺子屋 |
全ての始まり
https://x.com/Najiko10/status/1515585961404801035
https://x.com/GlinTFraulein/status/1515912516873850884
全ての始まりとなるツイートが、これです。たまたまこのツイートを見てしまったので、構想を開始してしまいました。2022年4月17日、UniMagicの大本となるアイデアが世に生まれました。
ただし、この構想が衆目に晒されることになるまでには、ここから更に8ヶ月もの時間がかかりました。もちろん死ぬほど忙しかったというのもそうなのですが、ある程度形になった構想を世に送り出したいという気持ちが強かったです。
ちなみに、2022年はNOAH Extra→戮力闘心祭→グリントフロイライン生誕祭2022→実家帰省からの旅行→実家に戻らず下宿先へ途中帰宅→パーティクルライ部合宿→煉獄丸さんお誕生日会(合作パーティクルライブ作成)→VJEF出演→学園8期担任 までの7月中旬~11月上旬までの丸3ヶ月以上休憩なしで走り抜けており、本当に"死ぬほど"忙しかったのを覚えています。
"魔術高専"計画
https://x.com/GlinTFraulein/status/1604748387101704192
https://www.slideshare.net/slideshow/vrchat-255002015/255002015
2022年も終わろうとする12月23日。遂にその構想が明るみに出ることになります。『VRChatにおける"学園型"イベントの概観と、あたらしい"学園型"イベントの提案について』というタイトルで、授業兼発表という形でここまで考えてきた構想を放出しました。詳細は上記SlideShareのリンクをご覧ください。というかこの後はスライドの内容を前提に述べますので、読む方が良いです。
この時期は、まだ"UniMagic"の名称もなく、"魔術高専(仮)"の名称を用いて構想を行っていました。ここで、"高専"としていたのは特に私立VRC学園との対比を見据えていました。私立VRC学園初代学園長のタロタナカ氏によると、「私立VRC学園は"高校"をベースにデザインされている」そうで、それに対してよりギークでディープな教育機関のデザインは何かと考えた時に、"高専"が頭に浮かびました。
スライドにも書きましたが、私立VRC学園は"受験戦争"が年々激化する中、VRCスクールは新規受け入れの無期限停止状態となっていました。"魔術高専"計画の中には、学園型イベントとしての受け皿という立ち位置も含まれている以上、当時の情勢を鑑みても勇気のある計画であり、かつ必要な計画だったと今でも思います。この頃はまだ寺子 屋もありませんでしたから。
この頃から掲げ続けて変わらないものも多いです。例えば、
- "魔術高専"は『技術の府』であること
- 「人間が説明できた魔法を、科学技術と呼んでいるのだ。」
- 本科、専攻科、研究課程の存在(研究課程はまだβです)
- 未参加の科なら、再度入学可能なシステム(スライドでは、「進級/中途入学などが可能」と表現しています)
- 2週間の授業期間と、1週間の修了制作
様々ですが、逆にこの段階で実現可能性はともかくとして、構想自体はかなり固めた状態で世に出していました。このタイミングの私の目標は、「実現可能にするための人員の確保」だったからです。流石に私一人では手が回りきらないことは目に見えていましたから、リソースを確保したかったのです。
初代のトップが飯を食わなそうかわいいことで知られる魔術高専(仮)をよろしくお願いいたします。
"魔術高専"計画の裏テーマは「学園/スクールと立ち並ぶ、学園型イベント第三の選択肢」でした。私は、学園もスクールも大好きだし、応援しています。だからこそ、学園の講師が足りないと耳にすれば馳せ参じますし(16期Bは実際そうだった)、スクールではOB向け定期イベントのスタッフを続けています。
あと、スクールの校長に「スクールがちゃんとしてくれないと張り合いがなくてつまらないから、頑張ってくれよな」ってよく言っています。学園やスクールといった王道が強いからこそ、変化球は意味を持つのです。
寺子屋の出現、学園型の繋がり
VRC初心者ノ寺子屋の0期が開催されました。年が明けて2023年1月の事です。
ほんの少し焦りがあったかもしれません。が、そんなことを気にしている余裕もありませんでした。なぜなら、同時に学園OB向けイベントである「戮力闘心祭・弐」を進行していたからです。つまり、12月に人数を集めてからしばらくの間、魔術高専プロジェクトは進行していませんでした。
その後2月にはクローズドなイベントとして、『学園型コミュニティ交流会』が行われました。この段階でも、学園/スクール/寺子屋/魔術高専(仮)/XRC/null高/放レ部、と結構な団体数でした。学園型イベントの動きが広がっているのは嬉しかったものの、XRCやnull高といった"狭義には学園型でないイベント"が学園型を名乗ることに対する懸念も(自分の中に)ありました。(し、なんなら今もあります。)
実際、この中で狭義学園型イベントであるのは、学園/スクール/寺子屋/UniMagic の4イベントになります。
懸念があったので、私立VRC学園の2代目学園長であるebigunsoさんとをメインに、「学園型イベントを学びと協同生活性の2軸平面上にプロットする」試みを行いました。また、卒業後に起きる当該イベントで繋がりを得たフレンドとの関係の減衰についても議論しました。
"魔術学舎United"の胎動
魔術高専計画をちゃんと進行し始めたのは、2023年4月でした。
議事録の残っている最初の会議は、4月26日に行われました。そしてこの日、魔術学舎Unitedという正式名称、ならびに**UniMagic(ゆにまじ)**という略称が誕生しました。法的にも問題なく(「高校」や「大学」「高専」といった特定の名称は、学校法に抵触する可能性がある)、字面もかっこよく、略称も口に馴染む、良い名称だと思います。
ここから、6月下旬に開校となる0期に向けて、急ピッチで準備が進んでいきます。当時、運営の代わりに立ち上げを行う準備会を結成していました。以下にそのメンバーを記します。太字は1期以降も運営メンバーに残った皆様です。
- GlinTFraulein
- イオ/KJ-IO
- taka7n
- akiya753
- kazu9989
- Nino
- ここは
- 設計師国泰
- とろまる
- Fushimi243
- Astro Sola
UniMagic0期の情報が明るみになる少し前の6月上旬、学園型コミュニティ交流会が再度ありました。そこでは「名称問題が遂に解決したこと」「0期CBTを行うこと」を発表しました。もちろんクローズドなイベント、かつメンバーも変わらない形ではありましたが、参加者には大きなインパクトを残せたのではないでしょうか。
0期はUnity本科を開催することにしました。Unity本科は、今も昔も「アバターを通して、Unityの様々な概念に触れる」「基本的なアバター改 変であれば、ツールなしでもできるようになる」を目指しています。
UniMagic的にも重要な立ち位置を占めています。Unity本科が全ての水準となるからです。Unityの話であればUnity本科の内容をベースに次の内容が語られるべきですし、それ以外(Blenderなど)であればUnity本科のような基礎から語られるべきです。
折角なので、0期の募集要項を公開しましょう。Unity本科の内容ではありますが、基盤系こそ今とほとんど変わりませんが、必修がかなり難しいものであったことが分かります。色々と手探りな時期です。
0期は私立VRC学園の卒業生、ならびに寺子屋の卒業生を対象に生徒募集を行いました。いわゆるCBTってやつです。寺子屋方面に関しては、寺子屋の初代塾長・とろまるさんが準備会に居たので、コンタクトを取るのが極めて容易でした。
意図として、「学園型イベントの勝手が分かっている人であれば、ある程度の"理解"が形成されている状態で進行できるだろう」というものがありました。
0期の基盤講師/職員名簿を紹介します。
役職 | 名前 |
---|---|
基盤講師 | GlinTFraulein |
担任 | GlinTFraulein |
副担任 | (なし) |
バカなのか?
この人、「基盤講師と担任を兼任すれば、人数少なくても回せるで!w」「担任なら私一人いれば回るで!w」って言って、マジでやりやがりました。でもよいのです。そもそも0期の目標は「UniMagicが実現可能であることを示す」だったので、どんな手を使おうと回れば勝ちなのです。
必修はイオさんやtaka7nさん、akiyaさんに手伝ってもらいました。それでも私は授業10回中5回は持っていた気がしますが……。
0期開催後、私が天使のひまわり!2ndLiveのワールド作成や『星降る夜に奏でる演舞』への出演/練習でわたわたしていたため、次に動きが起きたのは8月の事でした。
魔術師団を刮目せよ
8月になると、UniMagic1期に向けて動き出しました。今度は生徒/講師の公募を含めた、本当の闘いの始まりです。公募という不確定要素の中、どこまでできるか、そして私のマンパワーを使わずにどこまでできるか、が焦点になっていました。
9月にはまた学園型コミュニティ交流会が開催されました。今度はCLUSTARS学園やVRCAcademyも追加で参加する中、1期開催を控えていることもあり一定のポジションを得られたという感触がありました。
ところで、1期は1クラスのみの開催予定でした。予定でした。 実際には、1-2修了生がいることからも分かる通り、突然2クラスになる進行が発生しました。15名枠に、55名応募があったら、ねぇ……。突然増えた分の職員は運営メンバーから捻出しました。
この回のみならず、UniMagicでは突然クラス数が増えるという異常事態がよく発生します。この後も発生するので、お見逃しなく。ちなみに運営メンバーは胃を痛めています。特にakiyaさんが。
1期の必修はモ リモリでした。モリモリすぎて、あまりの難易度インフレに今では深く反省しています。
- ハードウェアの話と、「Quest対応」が必要な理由
- Animation、Animator周りの話
- PhysBoneの話
- Contactの話
- Particleの話
- パフォーマンスランク概論
ムズすぎだろ~~~~~!!!!!
アバターギミック本科基準でも、かなり難しいことをやっているラインナップです。これに深く反省し、3期以降は必修カリキュラムが大きく改められることとなります。というか、授業時間を大きくオーバーしました。私が。
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そんなこんなで、かなりパワー運用を行ったUniMagicの立ち上げのお話でした。
構想の開始から皆さんの参加できる場所にUniMagicが出てくるまで、実に1年と5ヶ月ほどかかりました。その間も学園型イベント同士のつながりと、何より準備会のみなさまのおかげでUniMagicを成立させることができました。
1期が終わり、ワールド専攻科の登場、更にアバターギミック本科、Blender本科と歴史は続いていく……のですが、今回はここまでとしましょう。
来週、過去編2では1期が終わった後の紆余曲折から始まり、5期に至るまでの道のりを紹介します。
書洩らしは? と歴史家が聞く。
書洩らし? 冗談ではない、書かれなかった事は、無かった事じゃ。芽の出ぬ種子は、結局初めから無かったのじゃわい。歴史とはな、この粘土板のことじゃ。
中島敦 『文字禍』より